2026/05/21
【中部鋼鈑株式会社】 ミルシート業務の効率化にとどまらない組織変革。Mill-Boxが後押しした、クリエイティブな人材育成の取り組み。
1950年の設立以来、愛知県名古屋市を拠点に国内唯一の厚板鉄鋼電炉メーカーとして歩みを進めてきた中部鋼鈑株式会社。「人を基本とする経営を実践します。トータル・テクノロジーを基盤とし、市場を見つめた経営を実践します。」という経営理念には、技術的な裏付けだけでなく、ものづくりを通じて社会と人に向き合う同社の姿勢が込められています。
近年は、この環境に優しい製造プロセスをさらに進化させ、オフサイトPPA(専用の太陽光発電所からの電力購入)を活用することで電力によるCO2排出量を実質ゼロにした環境配慮型電気炉鋼材「すみれす」を開発。第三者認証機関による証明書発行の仕組みも整え、脱炭素社会の実現に向けた鉄鋼業界の新しいスタンダードを切り拓いています。
そんな同社が、クラウド型ミルシート電子管理システム「Mill-Box(ミルボックス)」の導入をきっかけに、単なるペーパーレス化にとどまらない「営業組織の再編」という大きな変革を成し遂げました。その背景と具体的な取り組みについて、取締役の村松氏をはじめ、3名のご担当者様にお話を伺いました。

以前の課題:
各拠点での事務作業と、営業担当者のデリバリー対応
同社ではミルシートの清書や郵送といった手作業に多くの時間が割かれていました。また、紙での保管が前提となっていたため、過去データの検索にも手間がかかっていました。さらに、営業担当者が日々の出荷照会などの対応に追われていることも課題でした。
「各地区の事務担当者が、ミルシートの清書や郵送などの業務に1日約3時間かかっていました。紙で保管しなければならないため、過去のものを引っ張り出すのも大変でした。そして何より、営業担当者がデリバリーの進捗管理などに毎日1時間ほど使っている状況でした。」
(中部鋼鈑株式会社 営業部 営業統括課長 不動野様)

Mill-Boxを選んだ理由:
受け取り側の負担を考慮したシステム選定
システム導入にあたり、同社が重視したのは自社の効率化だけではありませんでした。ミルシートを受け取る顧客側の利便性も考慮して検討が進められました。
「お客様にとってはPDFだけが届いても、チャージ番号や明細情報がないと、お客様側で全部転記してもらうことになります。『電子化するならデータも一緒に出してもらわないと困る』というお客様の声を真摯に受け止めました。それを受け取る側の目線で実現できるのがMill-Boxでした。」
(中部鋼鈑株式会社 営業部 営業統括課 物流統括チーム チームリーダー 鈴木様)

導入後の変化:
デリバリーサポートセンター(DSC)の設立と業務の集約
Mill-Boxの導入により、ミルシートの郵送や転記などの事務作業は実質ゼロに。さらに同社では、Mill-Box導入による業務効率化にとどまらず、併せて営業組織の再編に踏み切りました。
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導入後の変化 |
具体的な内容 |
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ミルシート管理コストの低減 |
1日約3時間かかっていたミルシートの郵送・転記作業が実質ゼロに。紙や郵送費、保管スペースも削減。 |
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業務時間の再配分 |
営業担当者が毎日約1時間かけていた進捗管理業務がなくなり、顧客訪問や提案活動に時間を再配分。 |
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顧客対応の迅速化 |
営業外出時も顧客問い合わせにDSCが即応し、出荷時期照会などのレスポンス・リードタイムが改善。 |
導入後の組織変革:
デリバリー業務を集約し、組織の競争力強化に大きく前進
Mill-Boxの導入をきっかけに、同社は「デリバリーサポートセンター(DSC)」を新設しました。
これまで各拠点の営業担当者にとって負担になっていた出荷照会などの定型業務を、DSCに一元化する取り組みです。
「『〇〇向けの荷物はいつ出荷できる?』といった、デリバリーの問い合わせに答えることもお客様とのコミュニケーションの一つです。しかし、それに営業が毎日時間を使い続けるのは非効率です。だからこそ、営業担当者からデリバリー対応の仕事をセンターに移管しました。営業担当者は外出中で電話に出られないこともありますが、センターならいつでも即座に答えられます。結果として、お客様からの評判も良くなりました。」
(中部鋼鈑株式会社 取締役 営業部長 村松様)

長年慣れ親しんだ業務を手放すことに対し、当初は社内から戸惑いの声もありました。
しかし、この取り組みの背景には、人材育成と組織の競争力強化という明確な目的がありました。
「今まで通りの仕事を今まで通りにやっているだけでは、これからの時代に合わなくなってしまいます。定型業務を手放し、営業担当者が『考える仕事』に集中できる環境を整えることで、人材をさらに成長させたいという狙いがありました。クリエイティブな仕事にどれだけ人の時間を割けるかが、最終的に企業の競争力に直結すると考えています。」(中部鋼鈑株式会社 村松様)
同社では、Mill-Boxの導入を、組織を変えるための具体的なきっかけとして活用しました。
「危機感を煽ったり、無理やり人を変えようとしても何も変わりません。Mill-Boxの導入という『背中を押すきっかけ』を、スタートの起点としてうまく使い、社内での納得感を醸成しながら組織を変えていく。これがマネジメントだと思っています。」(中部鋼鈑株式会社 村松様)
この取り組みにより、営業組織は従来のルート販売中心の体制から、戦略策定を担う「企画営業統括」の専任部隊を新設するまでに変化しました。
デリバリー業務から解放された営業担当者は、担当エリアを拡大し、より付加価値の高い提案活動に注力できるようになりました。
今後の展望:
業界全体のネットワーク化と環境への貢献
今後の展望として、同社はミルシートにとどまらない業界全体のデジタル化、そして環境課題への対応を見据えています。
「ミルシートは、鉄鋼流通の過程でメーカーから商社、流通、現場に至るまで必要とされる書類。これまでバラバラに各社が対応していたものを、Mill-Boxによって、ようやく業界のネットワークが構築できたと実感しています。これを他の帳票などにも広げていきたいと考えています。鉄鋼業界におけるネットワークのパイプを太くし、業界全体での効率化に繋げていけたらと思います。」(中部鋼鈑株式会社 村松様)
また、同社では電気炉を活用した環境配慮型の鉄鋼生産に加え、太陽光発電(PPA)を活用したグリーン鋼材「すみれす」の提供も開始しており、カーボンニュートラルに向けた取り組みも進めています。

中部鋼鈑株式会社様、ありがとうございました。